ジェイソンとキンニクの事件簿Ⅰ
僕は人体骨格模型である
僕は人体骨格模型である。
名前はジェイソン。
何で骨格模型なんかに名前が付いているのか、は置いといて、どうしてここは日本なのにいかにもアメリカ人っぽい名前が付いているのか、というと……
それは、アメリカ生まれだからだ。--と、今までは答えていた。
--しかし、僕は今、発見してしまった。僕の立っている台に書いてある文字を!!
『MADE IN CHINA』
--っ!
ぼ、僕は中国生まれだったのかぁ--っ!!
今までずっと、アメリカ人だと思っていたのに!!
これは一大事だ。アメリカンじゃなくてチャイニーズ……
『字英孫』にでも改名するべきか……
いや、それではヤクザになってしまう!!
……僕が生まれてこの方五十余年。多分。
いや、もう少し前…いや、もう少し後、だったかな。
とにかく長い間、この学校に居座っている。
骨格模型と言えば、学校の怪談に出てくることで有名だ。でも僕はそんなブッソーな物とは違う。確かに僕は光る。蛍光塗料というものが塗ってあるそうだ。この見てくれ+光るということから、不気味だと思ってそんな作り話を作ったんだと思う。
確かに不気味だ。何でファイルとか下敷きとかではなく、こんなものになってしまったんだろうと思うけれど……
んまぁでも一応、骨格模型としての誇りくらい持っている。
今日も一日、元気に頑張るぞ--!!


きーんこーんかーんこーん、きーんこーんかーんこーん。
一時間目の始まりを知らせるチャイムが鳴り響く。
この時間は確か、二年生の理科Ⅱの授業があるはずだ。
今は丁度、骨格の勉強をしているところだ。
要するに、僕の出番。
よぉ〜っし!!
今は理科Ⅱ教室の入り口のドア近くに、もはや用を成していないんじゃないかというくらい小さいビニールがかけられたまま放置…いや、立っている。
それにしても、生徒たちはこない。遅いなぁ。どうしたんだろう……
そのまま突っ立ていると、先生がやって来て、僕を持ち上げた。
そのまま廊下に連れて行かれる。
廊下には何か色々物が置いてある場所がある。
先生は僕をそこに置くと、何処かへ行ってしまった。
ま、待って、先生ぇ--!!
パタン。
先生は準備室へと消えてしまった。
……多分今日は時間割変更かなにかで、理科Ⅱの授業が何処かへ行ってしまったんだろう。
そうすると、今日の僕の出番(=理科Ⅱの授業)は無いことになる。
あーあ。せっかく張り切っていたのに。


--きーんこーんかーんこーん、きーんこーんかーんこーん。
……はっ!! いけないいけない。つい寝てしまった。
今のは何時間目のチャイムだろうか。
ガララッ
勢い良くドアの開く音が聞こえた。
そうか。今のは終礼の終わりを告げるチャイムだったのか。
……待てよ。ということは、僕はうっかり八時間近く寝ていたのか!
--と思っている間にまたまた先生が来て、今度は僕を理科Ⅱ教室へ運び入れた。
……しかしそこには、先客がいた。
「よぉ、骨格模型さんよぉ。いや、ジェイムズ君と呼んだ方がいいか?」
「いや、ジェイソンです…」
「ジョンソン、今日こそ決着を着けねえか?」
「ジェイソン、です! 何度言ったら判るんですか、この人体模型キンニクバージョンの分際で!!」
先客は、永遠の宿敵・人体模型キンニクバージョンだった。
いや、本当の名前はもう少し違ったような…まぁいっか。
「違うっつってんだろ!! 俺はそんな名前じゃねえ!!このベビー用品が」
「いや、○ョンソン・エンド・○ョンソン(株)はベビー用品も売ってますけど!! 大人にも使える肌に優しい製品を…って、違ーうっ!! ジェイソンだっつってんだろうが--っ!!」
「いつにもなく冴えるツッコミだな。ジェームズ」 「また元に戻ってんじゃねーか!! このキンニク模型」 「キンニクを漢字に直せ痔四損ジヨンソン!」
「僕の名前までも漢字にしなくていいし、ジョンソンでもないですし……しかも何でそんな格好悪い漢字を当てるんですか!!」
「じゃあ痔永無済!!」
「何変な字当ててんですか!! 痔が永遠に治らないって意味になってんじゃねーか!! ……ってかムリヤリすぎ!!」
…………
……こういうことは月に何度もある。
いつも決着が着かない。というのは、いつも終わる前に先生がどちらかを何処かへ連れて行くからだ。
くそ〜。今に見てろ、人体模型キンニクバージョンめ。
今日はキンニクの奴が何処かに連れて行かれた。
僕は教卓の前の水道の横に移動させられた。


「あ、内臓サン」
「あぁ、ジェイソン。お久しぶり」
内臓サンは、首から足の付け根までの模型。胴の所がぱかっと外れて内臓が取り出せる。ちなみに女性だ(多分)。
「あ、あのね…」
「何ですか?」
「ジェイソン、私……」
「?」
「お、男なの……」
……えええええ----っ!?
「ごめんなさい。女言葉ばっかり喋っていたから女のように思えたかも知れません。敬語のクセが抜けなくって……声も高いし」
「お…女だと……思っていました……」
新たな発見・2。
するとまた先生がやってきた。
「それじゃ」
内臓サンが小声で挨拶(あいさつ)してきた。先生に聞こえたらやばいもんなぁ。
「……はい」
先生はまた廊下に移動させた。
「……月が綺麗だなぁ」
まだ昇りきっていない月が視界に入り、僕は思わず呟いた。
今夜は十五夜のようだ。
「……ジャ、ジャイアン!!」
「うあっ!! びっくりした!! てかおめーまた間違えてんじゃねーかキンニク! 心臓止まるかと思ったじゃねーか!! 心臓ねーけど!!」
「た、助けてくれぇ--!!」
「…え?」
僕は一瞬頭がこんがらがった。
めずらしいことも、あるものだ。


「今まで色々やってきてごめんなさい!! もうやらないから助けてくれ!」
「え、えーっと……」
「頼む!」
「な、何があったんですか?」
「き、聞いてくれよー!! ……実は最近、物がよくなくなるんだ」
「何ですか、それ。どーせあんたが物を何処に置いたか忘れているだけでしょ」
「違うんだ。俺だけではなく他の奴の物もなくなっている」
「つまりお前含む多数の模型の物が最近よくなくなる、ということですか」
「しかも物というのはただの持ち物じゃあないんだ。その模型の身体の一部がなくなっているんだ」
「…気付けよ、お前ら……」
「ちなみに俺は左腕の上腕二等筋がなくなっているんだ」
キンニクはとても偉そうに、えっへんと威張って見せた。
「いや、ゼンゼン自慢になってないし」
「まぁ、そういうわけだ。どう見てもこれ、誰かが盗んでいったようにしか見えねーだろ、これ」
「……で、それを解決してくれ、と?」
「そういうこった」
「…お前な……」
「いいじゃないか。困った時にはお互い様」
「助けられる立場の人が言える言葉ですか、そ……」
「きゃぁぁぁぁ--------っ!!」
突然、悲鳴が夜の学校に響き渡った。
「…内臓サン…?」


僕と(キンニク)はすぐに内臓サンの元に行こうとしたが、そこにはある問題があった。
「どうしたジャイアン。行かないのか」
「……ジェイソンだコノヤロー。お前さっき『もうやらない』って言いましたよね?」
「どうしてそこから動こうとしないんだ、ジャイアントパンダ」
「……」
僕は呆れて言葉も出なかった。
「もう何とでも呼べ…」
僕はため息をついてそう呟いた。
「--あのですよ、僕は一応骨格模型なんですよ、一応」
「どっからどう見てもそうだな」
「ということは骨だけしかないって事ですよね」
「ま、そういうことになるわな」
「……筋肉がないのにどうやって動けるんですか?」
「……そ、そうかァ!!」
「お前気づいていなかったのかァァ!!」
「そうだァァ!!」
「えええええ!? そんなにあっさり言っちゃっていいのォォ!?」
「……それじゃどうする、ジェイソン」
「ってあんた、僕の名前きっちり覚えてんじゃねーかァァ!!」
「どうやってここから移動するんだ?」
「ひ、人の話を聞け--っ!!」
「こんなこと話している場合じゃねーよ。何か良い手でもないのか?」
僕は少し考えた後、こう呟いた。
「……お前が運べ」
「……はァ?」


「……ったく…何でこんなことに……」
「お前は紛いなりにも筋肉がたくさん付いているでしょう。だからこんなこと造作もないはずです。それにあんたが依頼主なんだから、こんなことぐらいしてもらわないと元が取れません」
「でもこの俺に運ばせるってさ…」
キンニクは僕を一生懸命動かしている。いつも先生がやっているように。
「さあ、着いたぞ」


「ジェっ…ジェイソン!」
「内臓サン、どうしたんですかっ!?」
「あっ…あのねっ……寝ている間に、内臓がっ……」
「ひっ、酷い…!」
見ると、さっき話した時には確かに収まっていた内蔵が、見るも無残に机の上に散乱している。
「あのね、か、肝臓がっ……」
「……あ!」
確かに肝臓だけが忽然となくなっている。
「……なぁ、ジェイムズ」
「ジェイムズじゃねーって何度も言ってんだろーがっ! ……何ですか?」
「俺、今気づいたんだけどさ……」
「?」
キンニクが、奴にしてはめずらしく深刻な顔つきで言った。
「…な、内臓サンの肝臓が……ねぇぇ--っ!!」
「……お前、バカですか。今さっき内臓サンが言ったじゃないですか……」
「誰がこんなことを……」
「って、人の話を聞けぇ--っ!」
「……っ!!」
内臓サンが引き攣つった声を上げた。
「どうしたんですか!? また他の内臓がないとか……」
「ジェ、ジェイソン…鎖骨が…!!」
「あっ!!」
「…気付けよ。--ったく、鈍感だなぁ。俺なんてすぐに上腕二等筋がないことに気が付いたぞ」
「……お前も気付かなかっただろ、僕の鎖骨がないことに」
「それはお前のものだ。俺は知らない」
「〜〜〜……」
「……ねぇ」
内臓サンが口を開いた。
「犯人を、捜しましょ」
「…な、何を突然……!!」
「だって、もうすぐ二年生の理科Ⅱの授業が『肝臓の働き』のところに入るのよ。なかったら困るじゃない……!!」
「…そりゃまぁそうですけど……」
言葉を濁す僕に、キンニクが内臓サンに加勢してきた。
「何たって俺が依頼してんだぞ。探したくないとは言えねぇだろ?」
「……」
こうして僕達は、半ば強引に犯人捜しを始めた。


「あ、ちーっす、キンニクさん」
後輩衆の一人が、キンニクに声をかけてきた。
「おう」
「今日は何の御用で?」
「あー……えーっと…その……」
今僕達は、実際に被害にあったという後輩衆に話を聞きに来ている。まぁ、格好良く言えば事情聴取だ。
で、僕や内臓サンにはあまり伝手がいないので、ここは全模型中一番顔が広いと思われるキンニクに任せている、といったところだ。
「なぁ、ジェイソン」
急に、キンニクが僕に近寄り、小声で話しかけてきた。
「何ですか?」
僕も小声で話しかける。
「あの…何だっけ、いきなり話題に入るときに使う言葉。多分『た』から始まる四字熟語だったような……」
「……もしかして、『単刀直入』のことですか?」
「あぁ!! それそれ! でかしたぞジェイソン」
「…バーカ……」
「…あの〜……キンニクさん、どうなさったんすか?」
後輩衆が心配そうに声をかけてくる。
「あぁ、済まねぇな。ちょっと大事な話があってな……」
「…何が『大事なこと』だ……」
僕は小声でツッコんだ。
「…単刀直入に訊くが……お前ら、いつ身体の一部が盗まれていることに気付いた?」
「…いつ、って、なぁ…そんなんいちいち覚えてないし」
「…そうだよなぁ」
「……朝、起きたとき…だったかな?」
「あっ! 俺もそーだったよーな気がするわ」
「そうそう! 確か俺もそうだった!」
「あたしも!」
「Meモダヨ〜」
「あたしもアル!」
「僕もそうでしたねぇ」
「わたくしもそうだったような気がしましてよ」
後輩衆が口々に言った。
「…わかった。ありがとな」
「先輩、犯人捜し、頑張ってください!」
「おうよ!」
キンニクは、自信満々に返事をし、後輩衆に手を振りながらその場を去った。


「……えっと、要するに、皆さんが朝起きたときに、身体の一部がなくなっているんですよね?」
「そうだな」
「ということは、夜中皆さんが寝ているときに犯行が行われているって事になりますよね」
「ええ。そういうことになるわ」
「つまり、その時刻に学校にいる人って、限られてきますよね?」
「おぉ! 推理が冴えているじゃねーかジャック」
「…誰がジャックだ……」
「ということは……先生あたりが怪しい、ということ?」
「そうです。先生とか先生とか先生とかが怪しいかと」
ガララッ
突然、誰かが教室のドアを開ける音がした。
「…おや? ウワサをすれば先生が」
「…本当だ」
僕達は息を潜める。
手には何かを持っている。でも、逆光のせいで、何を持っているかまでは判らない。
「…いけないいけない。ちょっと拝借し過ぎたかな」
と先生がひとりごちた。
そして、僕達が被っているビニールを引っぺがして、ごそごそと明らかに怪しい音を立てながら、僕達に何かをし始めた。
「……よし」
ビニールを元に戻し、先生はどこかに去っていった。
「…あれ?」
「どうした、ジェイソン」
「鎖骨が…戻ってる……?」
見ると、なくなったはずの僕の鎖骨が、もとあった場所にきちんと収まっていた。
「あ、俺の上腕二等筋も戻ってきてるぞ」
「……何だ、先生だったのか」
「いいえ……!」
内臓サンが震えた声で言った。
「私の肝臓が、まだ……!」


「どうして……?」
「……他にも犯人がいる、ってことですかね?」
そのとき、背後から声がした。
「……お困りの様だな諸君」
「………その声は!!」
「フハハハハッ!! 我が名は筋肉・皮膚合成模型、略して半分サンだ!(威張)」
キンニクはその声に冷たくツッコミを入れた。
「……お前バカか。んなこたぁ名乗られなくても判ってんだよ、メアントレード伯爵」
「誰だよそれ! 『名乗られなくても判ってんだよ』とか言いながら平然と間違えたよ! しかもさっき本人が『筋肉・皮膚合成模型、通称半分サン』って……あれ?」
僕はそう言いかけたところで、ふと違和感を感じた。 「……半分サンって、そんな正式名でしたっけ? 確か、人体模型半分バージョンじゃ……」
「フフフ……確かにそんな正式名称だったような気もするが、それではどこかのおバカさんと似たような名称になってしまうのでねぇ。だからこの名称を使っているのさ(嘲笑)」
「そ、それってキンニクさんのことね! あなた、酷いじゃない!」
「お、おい、内臓サン……せっかく半分サンが遠まわしに言ってくれたのに、わざわざはっきりさせないでくれよ…傷つくじゃねーか(涙)」
「ってお前、いつの間に半分サンの口調がうつっちゃってんのォ!?」
「……何のために現れたんだ、半分サン」
「って、僕の発言は完全にスルーですかっ!!」
「君達が気が付かない様だから、こちらから出向いてやったということさ(嘲笑)」
「……ということは、お前が犯人か!」
「左様」
「えー。もう語尾()やめちゃうのかよー」
「そこかよ! もっと他に言うことあるだろ! って言うかいつの間にそんな名称付いたんですかっ!!」
半分サンがごほんと咳払いをした。 「まぁとにかく」
半分サンは、そう言って準備室の扉を開け、中に入り、またすぐに出てきた。手には小瓶が握られている。
「ここに塩酸がある。これを肝臓にかければ、一発で溶ける!(宣言)」
「な、なんだと……!」
「や、やめて--っ!」
「………馬鹿ですね」
僕は嘲笑した。
「何……!?」
「塩酸は、金属しか溶かさないんですよ」
「何だと……!?」
半分サンは、思わぬ発言に戸惑っているようだった。 僕はそれを見計らって、必死に叫んだ。
「--今だキンニク! いけ--っ!!」
「……はぁっ!?」
「体当たりだ!」
「……ったく。わかったよ」
キンニクは高くジャンプしてして体当たりした。
「うわぁっ!!」
半分サンは、思いもよらぬ攻撃を受けて、思わず塩酸を宙に放り出してしまう。
「塩酸がっ……」
宙に舞う塩酸の瓶。
それは、思いもよらぬ方向に落ちてゆく。
「……って、うわぁ! こっちにくるぅ!」
何故か僕のところに落ちてくる。
「わっ、わっ……どーしよう!」
「取るんだジェイソン!」
「取れって言われても……」
そう言っている間にも、小瓶の高度はどんどん下がってゆく。
僕は覚悟を決めた。
絶対、取る。
そう思って構えた次の瞬間……
かっしゃーんっ!!
「……取っ…た……!」
塩酸の小瓶は、見事僕の手中に収まった。
「でかしたぞ、ジェイソン!」
キンニクは僕の元に駆け寄り、めずらしく僕をほめてくれた。
「……さーて、半分サンよぉ」
ギクッ。
「なななな何の用かなキンニク君(汗)」
半分サンはかなりテンパってるようだ。
「こんなことして、タダで済むなんてこたぁ考えてねーよなぁ?」
「ごごごごごめんなさぁ〜いっ!(謝)」
「ちょっとこっちへ来い」
「…へ?(疑問)」
キンニクは半分サンの首根っこをつかんでずるずると引きずりながら準備室へと入っていった。
すると、間もなくして……
「うぎゃぁぁぁ----------っ!!」
半分サンのもの思われる断末魔の叫びが聞こえた。
「…キンニク、何したんでしょうかね……」
僕はボソッと呟いた。
すると、キンニクが、なんかもう言葉では言い表せない状態になった半分サンを引きずり出してきた。
「んまあ、さっき自白もしたし、今日はこれくらいにしておいてやる」
「いや、十分ボコボコにしたと思うんだけど……」
僕のこの言葉は、もちろん(何か悲しいな……)スルーされた。
「ま、内臓サンの肝臓を始めとする、色々な模型達の身体の一部は返してもらうからな。あとで 本模型達に届けておくぞ。いいな?」
半分サンは黙って頷いた。
「じゃあな」
キンニクは半分サンにそう告げて、僕達は、理科Ⅱ教室を後にした。


「……と言うかさぁ」
「何ですか?」
キンニクは、来たときのように僕(と内臓サン)を持ち上げ、もとあった場所へと運んでいる。
「お前、よくあんなこと知ってたな」
「え?」
「ほらアレだよ、『塩酸は、金属しか溶かさないんですよ』って言ってただろ?」
「あぁ、あれですか。あれはハッタリですよ」
「ハッタリぃ!?」
キンニクは驚いて目を丸くした。
「そうです。本当はどうなのかなんて知りませんよ」
「…お前、よくそんな状態で言ったな……」
「まぁ、一件落着ってことでいいんじゃない?」
内臓サンが提案した。
「ま、それもそうだな」
「ですね」
「あはははは」
「何ですか? その『あはははは』っていう妙な笑いは」
「あはははは」
「って、人の話聞いてんですか!? ……ま、いっか。あはははは」
「あはははは」
「あはははは」
………
そうして、僕の長い一日は終わった。
名前はジェイソン。
何で骨格模型なんかに名前が付いているのか、は置いといて、どうしてここは日本なのにいかにもアメリカ人っぽい名前が付いているのか、というと……
それは、アメリカ生まれだからだ。--と、今までは答えていた。
--しかし、僕は今、発見してしまった。僕の立っている台に書いてある文字を!!
『MADE IN CHINA』
--っ!
ぼ、僕は中国生まれだったのかぁ--っ!!
今までずっと、アメリカ人だと思っていたのに!!
これは一大事だ。アメリカンじゃなくてチャイニーズ……
『字英孫』にでも改名するべきか……
いや、それではヤクザになってしまう!!
……僕が生まれてこの方五十余年。多分。
いや、もう少し前…いや、もう少し後、だったかな。
とにかく長い間、この学校に居座っている。
骨格模型と言えば、学校の怪談に出てくることで有名だ。でも僕はそんなブッソーな物とは違う。確かに僕は光る。蛍光塗料というものが塗ってあるそうだ。この見てくれ+光るということから、不気味だと思ってそんな作り話を作ったんだと思う。
確かに不気味だ。何でファイルとか下敷きとかではなく、こんなものになってしまったんだろうと思うけれど……
んまぁでも一応、骨格模型としての誇りくらい持っている。
今日も一日、元気に頑張るぞ--!!



一時間目の始まりを知らせるチャイムが鳴り響く。
この時間は確か、二年生の理科Ⅱの授業があるはずだ。
今は丁度、骨格の勉強をしているところだ。
要するに、僕の出番。
よぉ〜っし!!
今は理科Ⅱ教室の入り口のドア近くに、もはや用を成していないんじゃないかというくらい小さいビニールがかけられたまま放置…いや、立っている。
それにしても、生徒たちはこない。遅いなぁ。どうしたんだろう……
そのまま突っ立ていると、先生がやって来て、僕を持ち上げた。
そのまま廊下に連れて行かれる。
廊下には何か色々物が置いてある場所がある。
先生は僕をそこに置くと、何処かへ行ってしまった。
ま、待って、先生ぇ--!!
パタン。
先生は準備室へと消えてしまった。
……多分今日は時間割変更かなにかで、理科Ⅱの授業が何処かへ行ってしまったんだろう。
そうすると、今日の僕の出番(=理科Ⅱの授業)は無いことになる。
あーあ。せっかく張り切っていたのに。



……はっ!! いけないいけない。つい寝てしまった。
今のは何時間目のチャイムだろうか。
ガララッ
勢い良くドアの開く音が聞こえた。
そうか。今のは終礼の終わりを告げるチャイムだったのか。
……待てよ。ということは、僕はうっかり八時間近く寝ていたのか!
--と思っている間にまたまた先生が来て、今度は僕を理科Ⅱ教室へ運び入れた。
……しかしそこには、先客がいた。
「よぉ、骨格模型さんよぉ。いや、ジェイムズ君と呼んだ方がいいか?」
「いや、ジェイソンです…」
「ジョンソン、今日こそ決着を着けねえか?」
「ジェイソン、です! 何度言ったら判るんですか、この人体模型キンニクバージョンの分際で!!」
先客は、永遠の宿敵・人体模型キンニクバージョンだった。
いや、本当の名前はもう少し違ったような…まぁいっか。
「違うっつってんだろ!! 俺はそんな名前じゃねえ!!このベビー用品が」
「いや、○ョンソン・エンド・○ョンソン(株)はベビー用品も売ってますけど!! 大人にも使える肌に優しい製品を…って、違ーうっ!! ジェイソンだっつってんだろうが--っ!!」
「いつにもなく冴えるツッコミだな。ジェームズ」 「また元に戻ってんじゃねーか!! このキンニク模型」 「キンニクを漢字に直せ痔四損ジヨンソン!」
「僕の名前までも漢字にしなくていいし、ジョンソンでもないですし……しかも何でそんな格好悪い漢字を当てるんですか!!」
「じゃあ痔永無済!!」
「何変な字当ててんですか!! 痔が永遠に治らないって意味になってんじゃねーか!! ……ってかムリヤリすぎ!!」
…………
……こういうことは月に何度もある。
いつも決着が着かない。というのは、いつも終わる前に先生がどちらかを何処かへ連れて行くからだ。
くそ〜。今に見てろ、人体模型キンニクバージョンめ。
今日はキンニクの奴が何処かに連れて行かれた。
僕は教卓の前の水道の横に移動させられた。



「あぁ、ジェイソン。お久しぶり」
内臓サンは、首から足の付け根までの模型。胴の所がぱかっと外れて内臓が取り出せる。ちなみに女性だ(多分)。
「あ、あのね…」
「何ですか?」
「ジェイソン、私……」
「?」
「お、男なの……」
……えええええ----っ!?
「ごめんなさい。女言葉ばっかり喋っていたから女のように思えたかも知れません。敬語のクセが抜けなくって……声も高いし」
「お…女だと……思っていました……」
新たな発見・2。
するとまた先生がやってきた。
「それじゃ」
内臓サンが小声で挨拶(あいさつ)してきた。先生に聞こえたらやばいもんなぁ。
「……はい」
先生はまた廊下に移動させた。
「……月が綺麗だなぁ」
まだ昇りきっていない月が視界に入り、僕は思わず呟いた。
今夜は十五夜のようだ。
「……ジャ、ジャイアン!!」
「うあっ!! びっくりした!! てかおめーまた間違えてんじゃねーかキンニク! 心臓止まるかと思ったじゃねーか!! 心臓ねーけど!!」
「た、助けてくれぇ--!!」
「…え?」
僕は一瞬頭がこんがらがった。
めずらしいことも、あるものだ。



「え、えーっと……」
「頼む!」
「な、何があったんですか?」
「き、聞いてくれよー!! ……実は最近、物がよくなくなるんだ」
「何ですか、それ。どーせあんたが物を何処に置いたか忘れているだけでしょ」
「違うんだ。俺だけではなく他の奴の物もなくなっている」
「つまりお前含む多数の模型の物が最近よくなくなる、ということですか」
「しかも物というのはただの持ち物じゃあないんだ。その模型の身体の一部がなくなっているんだ」
「…気付けよ、お前ら……」
「ちなみに俺は左腕の上腕二等筋がなくなっているんだ」
キンニクはとても偉そうに、えっへんと威張って見せた。
「いや、ゼンゼン自慢になってないし」
「まぁ、そういうわけだ。どう見てもこれ、誰かが盗んでいったようにしか見えねーだろ、これ」
「……で、それを解決してくれ、と?」
「そういうこった」
「…お前な……」
「いいじゃないか。困った時にはお互い様」
「助けられる立場の人が言える言葉ですか、そ……」
「きゃぁぁぁぁ--------っ!!」
突然、悲鳴が夜の学校に響き渡った。
「…内臓サン…?」



「どうしたジャイアン。行かないのか」
「……ジェイソンだコノヤロー。お前さっき『もうやらない』って言いましたよね?」
「どうしてそこから動こうとしないんだ、ジャイアントパンダ」
「……」
僕は呆れて言葉も出なかった。
「もう何とでも呼べ…」
僕はため息をついてそう呟いた。
「--あのですよ、僕は一応骨格模型なんですよ、一応」
「どっからどう見てもそうだな」
「ということは骨だけしかないって事ですよね」
「ま、そういうことになるわな」
「……筋肉がないのにどうやって動けるんですか?」
「……そ、そうかァ!!」
「お前気づいていなかったのかァァ!!」
「そうだァァ!!」
「えええええ!? そんなにあっさり言っちゃっていいのォォ!?」
「……それじゃどうする、ジェイソン」
「ってあんた、僕の名前きっちり覚えてんじゃねーかァァ!!」
「どうやってここから移動するんだ?」
「ひ、人の話を聞け--っ!!」
「こんなこと話している場合じゃねーよ。何か良い手でもないのか?」
僕は少し考えた後、こう呟いた。
「……お前が運べ」
「……はァ?」



「お前は紛いなりにも筋肉がたくさん付いているでしょう。だからこんなこと造作もないはずです。それにあんたが依頼主なんだから、こんなことぐらいしてもらわないと元が取れません」
「でもこの俺に運ばせるってさ…」
キンニクは僕を一生懸命動かしている。いつも先生がやっているように。
「さあ、着いたぞ」



「内臓サン、どうしたんですかっ!?」
「あっ…あのねっ……寝ている間に、内臓がっ……」
「ひっ、酷い…!」
見ると、さっき話した時には確かに収まっていた内蔵が、見るも無残に机の上に散乱している。
「あのね、か、肝臓がっ……」
「……あ!」
確かに肝臓だけが忽然となくなっている。
「……なぁ、ジェイムズ」
「ジェイムズじゃねーって何度も言ってんだろーがっ! ……何ですか?」
「俺、今気づいたんだけどさ……」
「?」
キンニクが、奴にしてはめずらしく深刻な顔つきで言った。
「…な、内臓サンの肝臓が……ねぇぇ--っ!!」
「……お前、バカですか。今さっき内臓サンが言ったじゃないですか……」
「誰がこんなことを……」
「って、人の話を聞けぇ--っ!」
「……っ!!」
内臓サンが引き攣つった声を上げた。
「どうしたんですか!? また他の内臓がないとか……」
「ジェ、ジェイソン…鎖骨が…!!」
「あっ!!」
「…気付けよ。--ったく、鈍感だなぁ。俺なんてすぐに上腕二等筋がないことに気が付いたぞ」
「……お前も気付かなかっただろ、僕の鎖骨がないことに」
「それはお前のものだ。俺は知らない」
「〜〜〜……」
「……ねぇ」
内臓サンが口を開いた。
「犯人を、捜しましょ」
「…な、何を突然……!!」
「だって、もうすぐ二年生の理科Ⅱの授業が『肝臓の働き』のところに入るのよ。なかったら困るじゃない……!!」
「…そりゃまぁそうですけど……」
言葉を濁す僕に、キンニクが内臓サンに加勢してきた。
「何たって俺が依頼してんだぞ。探したくないとは言えねぇだろ?」
「……」
こうして僕達は、半ば強引に犯人捜しを始めた。



後輩衆の一人が、キンニクに声をかけてきた。
「おう」
「今日は何の御用で?」
「あー……えーっと…その……」
今僕達は、実際に被害にあったという後輩衆に話を聞きに来ている。まぁ、格好良く言えば事情聴取だ。
で、僕や内臓サンにはあまり伝手がいないので、ここは全模型中一番顔が広いと思われるキンニクに任せている、といったところだ。
「なぁ、ジェイソン」
急に、キンニクが僕に近寄り、小声で話しかけてきた。
「何ですか?」
僕も小声で話しかける。
「あの…何だっけ、いきなり話題に入るときに使う言葉。多分『た』から始まる四字熟語だったような……」
「……もしかして、『単刀直入』のことですか?」
「あぁ!! それそれ! でかしたぞジェイソン」
「…バーカ……」
「…あの〜……キンニクさん、どうなさったんすか?」
後輩衆が心配そうに声をかけてくる。
「あぁ、済まねぇな。ちょっと大事な話があってな……」
「…何が『大事なこと』だ……」
僕は小声でツッコんだ。
「…単刀直入に訊くが……お前ら、いつ身体の一部が盗まれていることに気付いた?」
「…いつ、って、なぁ…そんなんいちいち覚えてないし」
「…そうだよなぁ」
「……朝、起きたとき…だったかな?」
「あっ! 俺もそーだったよーな気がするわ」
「そうそう! 確か俺もそうだった!」
「あたしも!」
「Meモダヨ〜」
「あたしもアル!」
「僕もそうでしたねぇ」
「わたくしもそうだったような気がしましてよ」
後輩衆が口々に言った。
「…わかった。ありがとな」
「先輩、犯人捜し、頑張ってください!」
「おうよ!」
キンニクは、自信満々に返事をし、後輩衆に手を振りながらその場を去った。



「そうだな」
「ということは、夜中皆さんが寝ているときに犯行が行われているって事になりますよね」
「ええ。そういうことになるわ」
「つまり、その時刻に学校にいる人って、限られてきますよね?」
「おぉ! 推理が冴えているじゃねーかジャック」
「…誰がジャックだ……」
「ということは……先生あたりが怪しい、ということ?」
「そうです。先生とか先生とか先生とかが怪しいかと」
ガララッ
突然、誰かが教室のドアを開ける音がした。
「…おや? ウワサをすれば先生が」
「…本当だ」
僕達は息を潜める。
手には何かを持っている。でも、逆光のせいで、何を持っているかまでは判らない。
「…いけないいけない。ちょっと拝借し過ぎたかな」
と先生がひとりごちた。
そして、僕達が被っているビニールを引っぺがして、ごそごそと明らかに怪しい音を立てながら、僕達に何かをし始めた。
「……よし」
ビニールを元に戻し、先生はどこかに去っていった。
「…あれ?」
「どうした、ジェイソン」
「鎖骨が…戻ってる……?」
見ると、なくなったはずの僕の鎖骨が、もとあった場所にきちんと収まっていた。
「あ、俺の上腕二等筋も戻ってきてるぞ」
「……何だ、先生だったのか」
「いいえ……!」
内臓サンが震えた声で言った。
「私の肝臓が、まだ……!」



「……他にも犯人がいる、ってことですかね?」
そのとき、背後から声がした。
「……お困りの様だな諸君」
「………その声は!!」
「フハハハハッ!! 我が名は筋肉・皮膚合成模型、略して半分サンだ!(威張)」
キンニクはその声に冷たくツッコミを入れた。
「……お前バカか。んなこたぁ名乗られなくても判ってんだよ、メアントレード伯爵」
「誰だよそれ! 『名乗られなくても判ってんだよ』とか言いながら平然と間違えたよ! しかもさっき本人が『筋肉・皮膚合成模型、通称半分サン』って……あれ?」
僕はそう言いかけたところで、ふと違和感を感じた。 「……半分サンって、そんな正式名でしたっけ? 確か、人体模型半分バージョンじゃ……」
「フフフ……確かにそんな正式名称だったような気もするが、それではどこかのおバカさんと似たような名称になってしまうのでねぇ。だからこの名称を使っているのさ(嘲笑)」
「そ、それってキンニクさんのことね! あなた、酷いじゃない!」
「お、おい、内臓サン……せっかく半分サンが遠まわしに言ってくれたのに、わざわざはっきりさせないでくれよ…傷つくじゃねーか(涙)」
「ってお前、いつの間に半分サンの口調がうつっちゃってんのォ!?」
「……何のために現れたんだ、半分サン」
「って、僕の発言は完全にスルーですかっ!!」
「君達が気が付かない様だから、こちらから出向いてやったということさ(嘲笑)」
「……ということは、お前が犯人か!」
「左様」
「えー。もう語尾()やめちゃうのかよー」
「そこかよ! もっと他に言うことあるだろ! って言うかいつの間にそんな名称付いたんですかっ!!」
半分サンがごほんと咳払いをした。 「まぁとにかく」
半分サンは、そう言って準備室の扉を開け、中に入り、またすぐに出てきた。手には小瓶が握られている。
「ここに塩酸がある。これを肝臓にかければ、一発で溶ける!(宣言)」
「な、なんだと……!」
「や、やめて--っ!」
「………馬鹿ですね」
僕は嘲笑した。
「何……!?」
「塩酸は、金属しか溶かさないんですよ」
「何だと……!?」
半分サンは、思わぬ発言に戸惑っているようだった。 僕はそれを見計らって、必死に叫んだ。
「--今だキンニク! いけ--っ!!」
「……はぁっ!?」
「体当たりだ!」
「……ったく。わかったよ」
キンニクは高くジャンプしてして体当たりした。
「うわぁっ!!」
半分サンは、思いもよらぬ攻撃を受けて、思わず塩酸を宙に放り出してしまう。
「塩酸がっ……」
宙に舞う塩酸の瓶。
それは、思いもよらぬ方向に落ちてゆく。
「……って、うわぁ! こっちにくるぅ!」
何故か僕のところに落ちてくる。
「わっ、わっ……どーしよう!」
「取るんだジェイソン!」
「取れって言われても……」
そう言っている間にも、小瓶の高度はどんどん下がってゆく。
僕は覚悟を決めた。
絶対、取る。
そう思って構えた次の瞬間……
かっしゃーんっ!!
「……取っ…た……!」
塩酸の小瓶は、見事僕の手中に収まった。
「でかしたぞ、ジェイソン!」
キンニクは僕の元に駆け寄り、めずらしく僕をほめてくれた。
「……さーて、半分サンよぉ」
ギクッ。
「なななな何の用かなキンニク君(汗)」
半分サンはかなりテンパってるようだ。
「こんなことして、タダで済むなんてこたぁ考えてねーよなぁ?」
「ごごごごごめんなさぁ〜いっ!(謝)」
「ちょっとこっちへ来い」
「…へ?(疑問)」
キンニクは半分サンの首根っこをつかんでずるずると引きずりながら準備室へと入っていった。
すると、間もなくして……
「うぎゃぁぁぁ----------っ!!」
半分サンのもの思われる断末魔の叫びが聞こえた。
「…キンニク、何したんでしょうかね……」
僕はボソッと呟いた。
すると、キンニクが、なんかもう言葉では言い表せない状態になった半分サンを引きずり出してきた。
「んまあ、さっき自白もしたし、今日はこれくらいにしておいてやる」
「いや、十分ボコボコにしたと思うんだけど……」
僕のこの言葉は、もちろん(何か悲しいな……)スルーされた。
「ま、内臓サンの肝臓を始めとする、色々な模型達の身体の一部は返してもらうからな。あとで 本模型達に届けておくぞ。いいな?」
半分サンは黙って頷いた。
「じゃあな」
キンニクは半分サンにそう告げて、僕達は、理科Ⅱ教室を後にした。



「何ですか?」
キンニクは、来たときのように僕(と内臓サン)を持ち上げ、もとあった場所へと運んでいる。
「お前、よくあんなこと知ってたな」
「え?」
「ほらアレだよ、『塩酸は、金属しか溶かさないんですよ』って言ってただろ?」
「あぁ、あれですか。あれはハッタリですよ」
「ハッタリぃ!?」
キンニクは驚いて目を丸くした。
「そうです。本当はどうなのかなんて知りませんよ」
「…お前、よくそんな状態で言ったな……」
「まぁ、一件落着ってことでいいんじゃない?」
内臓サンが提案した。
「ま、それもそうだな」
「ですね」
「あはははは」
「何ですか? その『あはははは』っていう妙な笑いは」
「あはははは」
「って、人の話聞いてんですか!? ……ま、いっか。あはははは」
「あはははは」
「あはははは」
………
そうして、僕の長い一日は終わった。
★あとがき★
えー、というわけで「ジェイソンとキンニクの事件簿」(略称:ジェイキンorジェイソン)シリーズ第一弾だったのですが、いかがでしたでしょうか?えーとですね、これはいつぞやの母校の部誌に出したものの
しかも今回HPに掲載するためにちょっと色々加工していたヤツもバックアップ取り忘れてて……何か新しい試みしようとして色々いじって、そのあと「僕は人体骨格模型である」のドキュメント開いたら、アレ? 何か違う文字が書いてあるぞ?? ってことになってですね……多分何か違うヤツを「上書き保存」しちまってたらしくて……もう災難だらけですよ!!(涙) まぁ、皆さんにちょっとでも楽しんでいただければそれでいいかな!(やけくそ)
この後もジェイソンシリーズを色々と書きなぐっておりますので、訂正できしだい掲載いたします。そちらもご覧いただけたら嬉しいです。 それでは〜。。